今後の展望について
DUBNEEZ – Back To Chillとしての、今後の展望はありますか?
GOTH-TRAD – Back To Chillのレーベルとしてのリリースをもっと増やしたいね。
自分のリリースもそうだし、Back To Chillメンバーの曲のリリースも。
あとパーティーは、今は隔月開催していて、あんまり無理せずって感じだね。
今はENTER shibuyaでやってるから、なかなかバンドのライブとか入れたりはできないけど、clubasiaでやってた時とかは、BorisとかENDONとかバンドも入れたりもしてたし、コンセプトとしては今やDubstepだけじゃないからね。
もちろんDubstep主体でやってはいるんだけどでも、やっぱりもうちょっと幅広く、重い音楽っていうかヘビーウェイトな音楽で、DubstepとかDubとか、そういうのにも通じる新鮮で重い音楽をプッシュしていきたいなっていうのがある。
特に時代に合わせるっていう感覚は無いかな。
やっぱカッコいい重い音楽が聞けるパーティーみたいな!
DUBNEEZ – まさにその通りのパーティーですもんね!
最近だと、木曜の夜に開催することが多いと思うんですけど、何か意図があるんですか?
GOTH-TRAD – それは単純に、毎月とか隔月で週末に開催するのは大変だからね。
週末に開催するのってやっぱり、それなりに人入れなきゃいけないっていうリスクもあるし、赤字になると長く続けるのは難しいからね。
基本的に俺がブッキングからフライヤー、Tシャツのデザインまでやってるから、年に2〜3回週末に開催するので手一杯だね(笑)
あとはGOTH-TRADとしても海外ツアーや制作のアーティスト活動もあって、プロモーターとかイベンターがメインの活動じゃないから、そこに100%力を注ぐのは難しいかな。
ただ、パーティを続けて行くことはすごく重要だと思っていて、定期的にクルーと情報交換したり、お互いの新しい曲を聴き合ったり、それを現場でプレーして音の鳴りもチェックしつつ、フロアの反応を見たり。
俺の中ではプラスアルファで新しいアーティストを入れていこうっていうのもあるから。
若い世代とかかからも良い意味でこっちも刺激を受けたいし。
その新しい世代がどういう感覚でDubstepやるのかとか。
今は10年〜15年前に比べると100%DubstepかけるってDJが少ないのは事実で、ベースミュージックというもう少し幅広い見方でBack To Chillに沿うようなミックスしてるDJをブッキングしたいと思っているね。
DUBNEEZ – そういう理由で平日の夜に開催してたんですね!
新しく求めている人材もそんな感じなんですね。
GOTH-TRAD – やっぱり俺は音楽やる上で、自分のやりたいことをブレないでやるのが前提で、それが日本だろうが、海外だろうが、自分の音楽がハマるシーンを見つけるセンスって凄く大事で。
例えば、さっき言ったMad Raver’s Dance Floorって2005年に出した3rdアルバムにBack To Chillって曲が入ってて、でも当時の日本で100%ハマるシーンってなかったんだよね。
でもイギリスにはあったわけよ。
自分がやってることがハマるレーベルだったりとか、自分がハマる都市だったり、ジャンルだったりシーンだったりとかっていうのを意識して活動するのとしないのって、やっぱちょっと違うと思うんだよね。
日本でどうやってもダメだから、こういう風にやった方がウケるのかなって自分のスタイルを曲げなくても、本当に自分がやりたいこととか、自分が目指したいシーンとかをちゃんと見据えてやると絶対繋がってくると思う。
DUBNEEZ – 本当に自分がカッコいいと思うことをを続けるのって大事ですよね。
GOTH-TRAD – (インタビュアーは)今25ぐらいの世代でしょ?
DJやるってなると、曲も作ろうっていう感覚って結構みんな持ってるの?
DUBNEEZ – 僕らの周りは結構その感覚持ってますけど、DJだけやるって人の方が多いかもしれないですね。
GOTH-TRAD – なるほどね。
俺はDJだけやることについて否定してるわけじゃないし、別にそれはそのスタイルでいいと思うね。
だた一般的にDJと言っても、セレクターとクリエイターって大きな違いだと思うんだよね。
正直今は機材と曲が揃ってれば誰でもDJできるからね。
選曲の部分で現場を盛り上げる事にフォーカスするDJスタイルなのか、もっとクリエイティブなことしてオンリーワンなDJになりたいのかっていう意識的な違いだと思うよ。
ただ既製の楽曲だけをプレーするセレクタースタイルだと、誰かと被るって可能性はあるよね。
俺はライブもやったりするから、まずは自分のオリジナル曲を増やして、DJでも90分間全曲自分の曲でプレーする事もできるようにしてきた。それって誰にもコピーできないしね。
あとは自分の音楽ヒストリーを振り返った時に、自分がどういう作品をどれだけ積み重ねてきてるかってのを重要視してる。
アーティストとして誰かに自分を知ってもらう時に、このMIXを聴いてくれ!ってより、この音源を聴いてくれ!って方が、曲名やアートワークも含めてメッセージ性も含まれるから説得力があるよね。
俺はEARTAKERとREBEL FAMILIAってバンドもやってるけど、それも俺のやりたい表現の一部なんだよ。
ただDubstep DJってだけじゃなく、アーティスト/ミュージシャンでありたいっていう。
10年後20年後の自分が、どういうアーティストになりたいか想像する事も大事だと思う。
これから曲作りを始めたい人へのメッセージ
DUBNEEZ – これから曲作りを始める人や、既に活動している人向けのアドバイスはありますか?
GOTH-TRAD – 1番良いと思う制作の始め方は、例えばこのビートにこのメロディ、ベースラインが乗ったらいいな、このボーカルが乗ったらカッコいいな、とかっていうマッシュアップでも良いし。
今はサンプルパックとかいっぱいあるから、それを使ってパズルみたいに組み立てるとこから始めると良いと思う。
俺が最初に始めたのは、すごく好きなダブの曲があって、それを完全コピーしようと思ったんだよね。
同じ様なキックとスネアとハイハットと上物を作って、その曲と全く同じように再現しようと思ったら、全然できなくて、結果違う曲ができたみたいな(笑)
メジャー、アンダーグラウンド関係なく、世界中の音楽プロデューサー達は常に勉強してると思うんだ。
だってどんどん新しい機材もプラグインも出るしさ。
新しい機材やプラグインから新しいアイデアが生まれる事も沢山あるから、そういう事に時間を費やす事も大切だったりする。
DUBNEEZ – 最近だと、再生数が伸びないとかで悩んでしまう人も多いと思うんですけど、そんな時のメンタル対処法みたいのってありますか?
GOTH-TRAD – 俺もMySpaceに曲アップし始めた時は、最初は全然再生されなかったけど、あんま気にしてなかったね。
まずは売れる数とか再生回数とかっていうよりも、自分が満足できる曲を完成させて、世の中に出してってとこから始まると思うんだよ。
好きなレーベルに送って聴いてもらう事からチャレンジしても良いと思う。
だけど、どこかのレーベルでリリースしてもらうのを期待して色々ストップしてしまうのも勿体無いと思ってしまうよね。
だから0から自主レーベルで始めるのもアリだと思う。
今はSNSがメインのプロモーションツールになってるから、そこをうまく活用してセルフプロデュースしていく努力も必要になってくるね。
プロデューサーとしてDJやってる立場の人間って何を目指すのかって思うと、現場でお客さんが10人だろうが1000人だろうが、自分が作った曲を使ってその時1時間なり90分なりの、めちゃめちゃ良いセットがプレイできた時の満足感しかないと思うんだよね。
さらにお客さんがそれについて来た時はもっと嬉しい。
でも一生100%満足できたってことは無いと思うんだよ。
その100%を目指すから、「新しい曲作ろう」って気持ちになるはずなんだ。
その繰り返しで、曲も貯めて引き出し作ってみたいな。
俺は曲の引き出しとミックスの引き出しを、どれだけ自分で用意できてるかっていうとこだと思う。
今はまたダブプレートとレコードをメインでかけてるけど、その前はCDでDJしてた時があるのよ。
2006年〜2008年位は新しい曲作ってダブプレートをUKで切ってたんだけど、高いし重いしっていうのでだんだんCDになって(笑)
CDでプレイしてた時とかはさ、今のUSBほどじゃないけど、いっぱい曲かけれるのよ。
てことはやっぱり自分の曲もいっぱい必要だし、引き出しをいっぱい作ってDJやるようにしてた。
Dubstepってリワインドが起こるから、この曲でリワインドが起きた時は、次この曲でダブルドロップするとか用意して。
普通に繋ぐ場合はAからBに繋ぐつもりなんだけど、Aが盛り上がってリワインドした場合、B飛ばしてEからEとダブルドロップするとか。だから自分の引き出しをいっぱい作ってたね。
まずは売れる売れない、数字が伸びる伸びないって商業的な見方をするんじゃなくて、凄いヤバい曲できたとか、今日の現場でヤバいミックスできたとか、より音楽的な取り組みを洗練させていく、その繰り返しだと思うんだよね。
評価されるのは5年後とか10年後かもしれないけど、それを楽しんでやるっていうのは大事だと思うよ!
DUBNEEZ – 自分の引き出しを作る、これとても重要ですね。
僕たちもこの精神を引き継いで自分達で実践して、読者にも広めていきたいです…!
GOTH-TRADさんの音楽を制作する上での熱意、Back To Chillに懸ける思いが聞けて良かったです!
本日は長時間とても貴重なお話をして頂き、ありがとうございました!!
最後に
最後まで読んで頂きありがとうございます。
Back To Chillは、本当に素晴らしいイベントです。
筆者も初めて行った時は、体を突き抜ける低音とビートに大きな衝撃を受けました。
18年以上も日本国内で続く大変貴重なイベントですので、皆さん是非行ってみてください!
イベント情報
7月11日 (木)
22:00 – 05:00
Guest DJ:
Tsuvasur (DUBNEEZ管理人)
DJ:
GOTH-TRAD
CITY1
HELKTRAM
MØNDAIGAI
¥1500 Door ¥1000 U-23 | Before 11PM | w/f
GOTH-TRADがUKのダブステップシーンと繋がるきっかけとなった「Back To Chill」を由来に始動した本パーティは日本初のレギュラーダブステップパーティとして話題を呼んでいる。震えるほどの重低音を体感できる贅沢な平日夜を体験してほしい。
Back To Chill 各リンク
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